第2章 審神者見習い
「見習いや」
にっこり、と美しい笑みを携えた三日月宗近が、ご機嫌な声で呼ぶ。
「はい、なんでしょう?」
「主は十七だと言っていたな」
「ええ」
「ならば、まだ"こうこう"とやらへ通っている年ではないのか?」
三日月宗近が首を僅かに傾げて問えば、聞いていた燭台切光忠も口を開いた。
「ああそれ、僕も気になってたんだ」
その二口の言葉に、柚子はきょとりとした後ふわりと笑う。
「ええ、そうですね。普通ならまだ高校に通っている年です。私はどうしても審神者になりたかったので、適正年齢になった日に学校をやめて審神者養成所に通うことにしたんです」
「へぇ…。しっかりしてるね」
「そう、でしょうか?審神者養成所には、私のように学校やめて来る子も多かったので…」
「主の時とはえらい違いだねぇ」
にっかり青江は、柚子の言葉に関心したようにそう返した。
そもそも男が審神者になったばかりの頃、審神者養成所などなかったのだ。表立ってはかなり少なくなっていたが、裏では誘拐紛いなことをされ連れてこられていた子もいたくらいだ。
本丸にいれば見えない時の流れを、こんな時に感じる。