第2章 審神者見習い
「…きみがおなごを好きなのは知っていたが、こうして目にすると駄目だ。どうしても妬いてしまう」
はぁと小さくため息を吐いて、鶴丸国永は頬杖をついた。
翳った瞳と伏せられたまつ毛が妙に色っぽくて、男はごっくんと碌に咀嚼もしないで沢庵を飲み込んでしまう。
むらっとしてしまうのは仕方ない。三十路になって落ち着くかと思われた性欲は、しかし衰えることはなかった。
いや、衰えなかったというよりは、戻ったという表現が正しいだろうか。
男はキスしたい衝動に駆られて、きゅっと下唇を噛んだ。
「ごめん、でも俺の恋人はお前だけだよ。柚子ちゃんは、なんて言えばいいかな…、親戚の子供みたいな感じ」
「…うん、ちゃんと分かってる」
男の言葉に静かに頷くと、彼は再び食事を開始させた。
そのことに安堵しながら、男は刀剣男士に囲まれている柚子を見守るのだった。