第2章 審神者見習い
彼ら刀剣男士が作る食事はうまい。
だからか、審神者に着くまでは疎かにしていた食事も審神者になってからというものの、いつも腹十分目まで食べてしまう。
男はそんなことを考えながら、横目で鶴丸国永を盗み見る。
まだぶすくれている彼に感じるのは、面倒くささと愛おしさだ。
こういう時の鶴丸国永はほっておくのが一番なのだと最近学んだ。
なので、男は気にせずぱくぱくと煮物を口へ放っていく。
するとそのうち、鶴丸国永の方が口を開いた。
「……君はああいうのが好みなんだな」
普段より少し低い声に、棘のある言い方。
男はむっとしながら、食べる手を止め鶴丸国永の方を向く。
「んな事言うなよ。俺はちゃんと鶴のこと好きだろ」
「そんなこと言って、鼻の下を伸ばしてたのは誰だったか」
うっ、と男は言葉に詰まる。
図星なだけに返す言葉もない。
男は沢庵を口に運び、誤魔化すようにボリボリと音を立てた。