第2章 審神者見習い
「それに、主が見習いさんに構ってばっかいるから、鶴丸さんが拗ねちゃって。もー相手するの大変なんですよ」
鯰尾藤四郎の言葉を聞き、男はぎくりとして恋仲である鶴丸国永が座っている席へと目をやった。
なるほど、分かりやすいまでに不機嫌だ。
食事中であるから辛うじて肘をついてはないものの、男にはこれが食事中でなければ机に肘をつき、頬杖をつく姿がありありと想像できた。
それほど、今の鶴丸国永はぶすくれている。
「うわー、あれ怒ってっかな?」
「怒ってはないと思うけど、やばいんじゃないですかね」
「あいつ、最近どんどん面倒くさくなってきてね?」
「それは分かる」
思わず敬語が取れた鯰尾藤四郎は、強く同意した。
男は少し考えたあと、ならもう紹介してしまおうと思い至って、パンと手を鳴らした。
その音に好きに雑談していた刀剣男士たちは会話をやめ、一斉に視線を男の方へとむける。
「あー、この間も話したけど、今日から一か月、うちは審神者見習いを預かることになった。審神者名を柚子という。柚子ちゃん、挨拶お願いしてもいい?」
「あ、はい」
男が言うと、柚子は箸を揃えて置き、静かに立ち上がった。