第2章 審神者見習い
柚子が頷き、男が自分も食事の続きをと箸を持ったところで、男は後ろから誰かに乗っかられて手に箸を持ったまま前屈みになった。
何とか机に額を打たずにすんだのは、乗っかった刀剣男士の体重が男がぎりぎり耐えられる程度のものだったからだろう。
男はうわっ、と声を上げた後、箸を置き体制を元に戻す。
「あーるじ」
「おまえ、なぁ…!危ないだろーが」
のっかかってきた刀剣男士――鯰尾藤四郎は男の背中に体重を預けたまま、横に座ってる柚子をちらりと見てから言った。
「主だけずるいですよー、俺らだって見習いさんと話したいのに」
「わ、分かったから席もどれ。歌仙が怒るぞ?」
「俺もう食べ終わりましたもん。てことで主、席変わって」
語尾にハートをつけ、鯰尾藤四郎はそう強請った。
男が惜しく思いながら渋っていると、追い打ちを掛けるように耳元で呟く。