第12章 硝煙
気落ちした男を見兼ねて、白城はその背中を強く叩く。
「辛気臭ぇ面やめろよ。何もお前と鶴丸国永の関係を言ってるんじゃない。本人たちが納得してるなら、例えそれがどんなものであってもおれは何も言わんさ」
「………」
「それに、おれが言いたいのはそういうことじゃない。力を借りてるってことを、忘れちゃいかんってことだ」
「…分かってはいるんすけど、やっぱ、ふとした瞬間に考えちゃって」
きっとそれは、これから先も男にまとわりつく問題なのだろう。
それでも、鶴丸国永がいいと望んで手を伸ばした。そして、鶴丸国永は男の手を取った。
その事実があるだけで、今は幸せなんだと思うことにした。
後ろ向きばかりに考えるのは良くないことだと、ここにきて学んだうちのひとつだった。