第12章 硝煙
ここしばらく緊張感に晒されていた刀剣男士と男は、ようやく全てが一旦落ち着いたことにどっと疲労と安堵に包まれた。
祝杯でも上げたい気分でもあるが、変な疲れ方をしていたのもあって、後日改めてということになった。
今日はいつも通り夕餉を食べるとそのまま就寝。男は白城と縁側でお酒を飲み交わしながら、話をしていた。
「数日間、本当にありがとうごさいました」
「いや、悪いな。大したことしてやれなくて」
「なんでっすか。俺らとしてはすげー助かってます。いいなぁ、俺も式神使えたらなぁー…」
「こればっかりはなぁ。使える方が特殊だから、どうしてもな」
式神などといった高度な術を使える審神者は限られている。
元が陰陽師の家系であったり、寺や神社といったものと縁深かったりしないと基本的には使えないとされている。
ただ何事にも例外はあるようで、稀にセンスだけで使えるものはいるのだそうだ。
要するに天才。
残念ながら、男はその辺からっきしだった。霊力の量でいえば申し分ないのだが、雑というか大雑把というか。なんでもかんでも大味なのだ。