第12章 硝煙
次に眼が覚めると、すでに外は明るかった。
男は一体自分はどれほど寝ていたのだと頭を抱える。
寝すぎて痛む頭はともかく、身体はすっきりしていた。
ろくに食べていない日が続いていたからか目眩が少々するが、霊力はかなり回復したように思う。
布団から出て、汗を流すべくシャワーを浴びた。
いくらかすっきりしたところで、広間へ向かう。
久しぶりの本丸は、それでも特に変わりなかった。
戦闘での汚れや壊れていた箇所はすでにいくつかは治っており、それは白城の式神によるものだった。
どうやらまだ早い時間なのか、いつもの騒がしさは鳴りを潜めている。
それでも台所を覗けば、そこは賑やかだった。
歌仙兼定と堀川国広、燭台切光忠が朝餉を準備している。
パタパタと忙しそうに台所を行ったり来たりする彼らに申し訳ないと思いつつも声をかければ、歌仙兼定から「ようやくお目覚めかい、寝坊助さん」と優しく微笑まれ、燭台切光忠には「ちょっと痩せたね、主の分だけ別でおじやでも作ろっか」と気遣いをもらい、堀川国広からは「霊力もだいぶ回復してるようだし、顔色もだいぶ良くなってる。これなら数日で万全に戻りそうですね」とお墨付きをいただいた。
それぞれにありがとう、と礼を言えば、広間で待つようにとのことなのでその通り従う。