第12章 硝煙
それから、政府に連絡のつく時間帯になるまで、柚子とその妹を清めてやった。
といっても、男ばかりのこの所帯で裸を晒すのは可哀想だと、服の汚れや顔の汚れなどを取るだけに留まったが。
政府に連絡がつくと、男は時の政府内にある火葬場を借りる許可を取った。
電話の相手は昨日の政府の女性とは違ったが、こうなると予想されていたのか、許可はあっさりと出た。
できるだけ早い方がいいだろうということで、特別に現世へ行く手続きも免除された。
申し訳ない限りではあるが、本丸のことをへし切長谷部に任せ、男は身支度をするとすぐに現世へと向かった。
ふたりの遺体は、白城が棺を用意してくれたので、それを甘えて使わせてもらった。
現世へ連れて行ったのは、約束を最後まで果たす義務があると主張した鶴丸国永と、必然的に一番柚子と関わりを持つことが多かった山姥切国広の二振りだ。
男は政府へ着くなり、火葬場へと向かった。
そして、遺体は数時間かけて、灰になった。