第12章 硝煙
そうして、数時間後。
山姥切国広に起こされると、ちょうど朝焼けが綺麗に射す頃合いだった。
帰ってきたぞ、というので、そのままゲートのすぐそばへ向かう。
ゲートの前には、すでに白城がいた。
朝の挨拶もそこそこに、帰ってきた二振りを迎え入れる。
ざっと見たところ、怪我はない。
二振りが向かったのは反乱軍の基地の中でも、戦闘とは程遠いものばかりが集められた基地だったという。
歴史修正主義者に居合わせることもなく、少しばかりの疲労を滲ませて帰ってきた。
鶴丸国永の腕の中には、小さな子どもが抱きかかえられていた。
外傷はほとんどなく、ただ眠っているだけのように見える子どもは、それでも確かに呼吸をしていなかった。
柚子を見ても子どもだ、と思ったが、この子はもっと小さい。
そっと、小さな手のひらに触れた。
もう温もりはなく、ひんやりとした温度だけが男の指先に伝わってくる。
柚子が守りたかったもの。
ともに生きたいと願ったもの。
泣いては駄目だと分かっていたのに、少しだけ涙が出た。