第2章 審神者見習い
「こちらこそよろしく。そんなに硬くならないでいいよ、もっと楽にしてくれていい。言葉だって、俺はあんまり気にしないから崩してくれて構わないよ」
な、と山姥切国広に同意を求めれば、彼は横目で男を見て「あんたはもう少しこの少女を見習うべきだ」と言う。
それに男がうるせーと返せば、目の前の少女――柚子はくすりと笑みを零した。
その素で出た笑みに、男と山姥切国広は顔を見合わせる。
心情はきっと同じだ。審神者見習いの子がいい子そうで安心した。これなら、いい一ヶ月になりそうだ。
男は少女に満足気に笑いかけると、山姥切国広の肩を組んだ。
それから、彼が被っている布の上から思い切り髪を撫ぜる。
山姥切国広は嫌がっているが、男はそんなの御構い無しだ。
「おい、ちょ、やめろ!」
「はいはい、さあ!今日は帰ってパーティーだ!」
「パーティー、ですか?」
「おう、君の歓迎パーティー…と言う名の飲み会だな。あ、でも未成年だっけ?」
「はい」
「なんであんたはそういう事をちゃんと考えてないんだ」
「うるせー。じゃあ美味しいジュースを買って帰ろう。はい、そうと決まればスーパーへレッツゴー」
男は山姥切国広と少女の背中を押しながら、出口の方へと向かう。
担当と政府の役人が軽く頭を下げるので、男も頭を下げると、その部屋を出た。