第2章 審神者見習い
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指定されていた部屋へ行くと、そこには男の担当と政府の役人が二人、そして審神者見習いであろう少女がいた。
一通りの説明を受けた後、男はその場で自己紹介をする。
「俺が今日から君が研修に来る本丸の審神者だ。俺のことは好きに呼んでもらって構わない。そんで、こいつが山姥切国広。俺の初期刀で、君の世話係について貰おうと考えてる」
「困ったことがあったら言ってくれ。大抵のことは俺と長谷部が何とかする」
「それから要望なんかもあったら、できる限りでは叶えられるよう努力するから遠慮なく言ってな」
男が付け足すようにそう言えば、少女はこくりと小さく頷いた。
それから、その薄ピンクに染まった薄い唇を、ゆっくりと動かす。
「審神者名を柚子と申します。どうぞ、好きにお呼びください。まだ至らぬ点も多いと思いますが、これから1ヶ月間、精一杯頑張りますので、よろしくお願いします」
柚子、と名乗った少女は丁寧にお辞儀をすると、頬を染めはにかんだ。
男は内心でどきりとしつつも、礼儀の正しい子だなぁと舌を捲く。
それはどうやら山姥切国広も感じたことらしく、おっかなびっくりしている。
まだ少し緊張しているように見える少女に、男も微笑み返し硬さを取り払った声で話しかけた。