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とうらぶっ☆続

第12章 硝煙



「主、頼む」
「だから、………」

許可はできねぇよ。

言おうと思っていたのに、男はその先を言うことはなかった。言えなかった。
あの子どもに、できるだけ幸福な死を。できることならば、死した後もできるだけ幸せでいてほしい。
願ってしまったのは、祈ってしまったのは、男も一緒だ。

「鶴丸、この子には妹がいる、と言ったな」

埒があかないと、白城が鶴丸国永に尋ねる。

「あぁ」
「恐らくその妹の居場所は分かる」
「本当か!」
「嘘はつかん。場所は阿津賀志山だ。行くなら、今から日が昇りきる前に行った方がいい。ただし、それはお前さんの主の許可が出ればの話だ」
「………」
「雪、幸いにして鶴丸は軽傷だ。疲労についてはおれが回復させる。それにおれの蜂須賀がいる。一人ではいかせん。お守りも持たせているし、式を2体ほどつけておこう。それでも、行かせることは反対か?」

そう言われて仕舞えば、頷くほかなかった。

今から行くのだとすれば、時間帯的にも歴史修正主義者と戦闘になることはほとんどないだろう。
何より白城が式をつけると言った。
式神に歴史修正主義者を倒すことは出来ないが、戦闘不能にさせることは可能だ。
白城ほどの力のある持ち主が出した式ならば、阿津賀志山の歴史修正主義者であっても、容易く時間稼ぎ程度は可能だろう。

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