第12章 硝煙
「そこで俺の番だ。なんで俺がわざわざこの本丸にきたと思う。…蜂須賀!」
「はいはい。刀剣男士は任せてくれ」
「え、どういう…」
状況を読めないまま、白城はそんな男の様子を気に留めることなく話を進めていく。
相変わらず強引というか。話を聞かない爺さんである。
「俺の式神がお前さんの刀剣男士の手入れをする。本丸の修繕もな。刀剣男士には蜂須賀の方から説明がされる。事細かに事情を知っているわけじゃないが、大体は知ってる。よく、踏ん張ったな」
「あ、りがとうございます…」
なんというか、頭がついていかない。
つまりはどういうことだ?
「雪様、お察しかとは思いますが、数日の間白城様がこちらの本丸に留まります。彼は式神に使うことに長けておりますので、すぐにでも本丸の修繕等は終わるでしょう。私どもではことの詳細までは把握できませんので、この方法が最適かと思いそうさせて頂きました。滞在期間は白城様の判断に任せております。もしなにかあれば、こんのすけを通し連絡頂ければ応じましょう」
「はぁ…」
「うちの本丸の心配なら無用だ。長曾根に任せてある」
「非常に不服だけどね」
「なんだ、蜂須賀。お前だって賛成してたじゃねーか」
「怒るよ、主」
どうやら刀剣男士に説明を終えたらしい蜂須賀虎徹が、隣に鶴丸国永を連れて白城の元へと戻ってきた。
鶴丸国永は政府の役人を一瞥する。いつまでいるつもりだと、その視線が物語っていた。
なんか、ピリピリしてんなぁ。
男は自分のことを棚に上げ、そんなことを思う。
念のために、視線で釘は刺しておいた。