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とうらぶっ☆続

第10章 無知と無垢



「駄目だよ、あるじ」
「清光」
「だめ。主に、そんなことはさせられない」

続いて、山姥切国広が言う。

「あんたには、殺せない。人を殺したことがないあんたでは、あの子どもを楽には逝かせてやれない。それではあんまりに、あの子どもがかわいそうだ」

初期刀の言葉に、男はなにも言えなくなる。

その通りだった。
中途半端な覚悟では、なし得ないことだ。人を殺すことには、生半可ではない勇気がいる。
たとえそれが救いだったとしても、人を殺すことには変わりない。
少しの躊躇が、優しさが、手を緩めてしまう。
苦痛に塗れた死など、あの子どもに与えてやるべきではない。

「……それにね、主」

加州清光は柚子と鶴丸国永から視線を外すことなく続ける。
刀は振りかぶられた。

「鶴丸さんは、主にどうしたって、あの子を殺させたくないんだよ。もちろん、俺たちだってね」

そして、一突き。
狙いは寸分違わず、少女の左胸に。

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