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とうらぶっ☆続

第10章 無知と無垢



「ひとつ、きみに提案がある」

俯いていた男の肩を励ますように二度たたいて、鶴丸国永は柚子の方へ言いながら近寄った。

「この提案を呑むか呑まないかは、きみが決めるといい。きみが決めたことに、誰も否定はしない」
「提案、」

涙をその大きな瞳にいっぱい溜めたまま、柚子は鶴丸国永の言葉を繰り返した。
ああ、と鶴丸国永が肯定する。

「俺に、殺されないか」

その言葉に、男は瞠目した。
咄嗟に意味を理解できず、かすれた母音が口の中で消えていった。
ひどい動揺の中にいる男に比べて、それ以外のものは皆静かに事の成り行きを見守っている。

「つ、るまる…!」

驚きで掠れた声で、男は鶴丸国永を呼ぶ。
駆け寄ろうとしたところを、山姥切国広に止められた。

「なんで!」
「聞いてれば分かる」

そう言われて仕舞えば黙るほかない。
男は口を噤んで、視線をふたりに戻した。顔は思わず険しくなる。

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