第9章 柚の花は白く
ようやく見つけた私たちがき残るための方法。
彼が所持する刀剣男士が、五日後、私たちが生まれるに至った歴史を作った、改変した歴史修正主義者と相対し、見事に彼らは勝利する。
そして、そこで私たちは消えるのだ。
それを阻止するために、審神者見習いになろうと決意した。
審神者見習いになれば、政府の方へ手を回し雪という審神者の元へ配属されるように調整した。
なによりも大変だったのが、歴史の行き来。
そして、その歴史修正主義者を倒す彼らの本丸を割り当てることだった。
ようやくあと一歩のところまで来たのに、たくさんの我慢をして、いろんなものを犠牲にして、あとほんの少し、手を伸ばせば私の願いは叶いそうだったのに。
やっぱり、私の一番の不幸は、あの人を好きになってしまったことなのだと痛感する。
だって、きっと、あの人になんの情も抱かなければ、勝機は私たちにあった。間違いなく、望む未来が手に入っていた。
しようと思えば、見習い最終日、つまり私がこの本丸を襲った日、圧倒的有利な状況に追い込むことだってできた。
歴史修正主義者をもっと連れてくることだってできたし、遠征や出陣に行っていた刀剣男士たちの帰還を阻止することだってできた。
そうしなかったのは、それができなかったから。
最後の最後、私の決意は揺らいだ。
傷つけたくないなんて思ってしまった。都合のいい未来を、夢見てしまった。
本音を言うと、少し疲れてしまったのかもしれない。