第8章 反撃の烽火
男が数日間にわたり、薬研藤四郎の本体へと霊力を込める。
ある程度込めれば、そこからは刀を顕現させる感覚と同じでいいとのこと。
そして薬研藤四郎が顕現してからが、この作戦は大きく動く。
薬研藤四郎は速やかに男をここに縛り付けている鎖を断ち切り、牢屋の鍵を壊す。
恐らくは壊す際、若しくは顕現させた時の霊力で、敵はこちらに駆けつけてくるだろうが、戦闘は出来るだけ避けたい。
とういうのも、薬研藤四郎が顕現できる時間も僅か、力だって折れる前には程遠いからだ。
とにかく敵からは逃げる形をとる。
五虎退を回収すれば、男の出番だ。
五虎退にかけられている術を強制解除し、五虎退とともにここを出なくてはならない。
しかし男は内部構造を殆ど知らない。
話の断片から何となく分かっているのは、ここが地下にあり、出入り口はたった一つであること。
そして、その出入り口は洞窟と続いているということだけだ。
ではどうやってここを脱出するのか。