第7章 相まみえる
「青江あたりはきづいてたんじゃねぇか?」
「あ、あー、そういや、それっぽいこと言ってたな、あいつ」
「ま、だから、俺っちにはなんでもお見通しってわけだ」
「……なんでも?」
「おう」
「え、いや、まって。なんでも?」
だらだらと冷や汗が止まらない男に対し、薬研藤四郎はニヤニヤと楽しそうだ。
足をぷらぷらと遊ばせていたのを一旦止めて、ふふん、と得意げに鼻を鳴らした。
「ばっちり、ぜーんぶ、お見通しだぜ?大将」
「うわああああ!!もしかして鶴丸とのことも?!」
「いやぁ、無事くっついてくれてよかったぜ。あ、安心してくれ。流石に潤事は見てねぇから」
「おまっ、それ、…当たり前だろぉ……」
勘弁してくれ、と顔を覆い項垂れる男の背を、しっかりしろよ、と遠慮なくバシバシ叩く。
薬研藤四郎は声を潜めて、でもな、と言葉を続けた。
「本当に、よかったと思ってるんだ」
「やげん?」
「俺っちが折れちまってしばらく、大将ひでぇ落ち込み様だったから」
その言葉に、男は当時のことを思い出す。
そうか、そんな時からそばにいてくれてたのか。
嬉しさと、ずっとしまい込んでいた罪悪感や後悔が海になって男を襲う。