第7章 相まみえる
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ここ、どこだろ。
男の意識が男のもとに戻った時、視界に映ったのはどこまでも白が続く世界だった。
果てが見えない世界にいながらも、不思議なほどに恐怖は微塵もなかった。
することも何もないので、男はとりあえず歩いてみることにする。
しかし、あたりがこうも白いと自分が進んでいるのかそれとも後ろに下がっているのか分からない。変な気分だ。
ここは不思議な場所だった。
食欲や睡眠欲も湧いて来なければ、疲れることもない。まるで、死人みたいな。
そこまで考えて、男はふと思いついた。
「もしかして、俺死んだ?」
「いやいや、何言ってんだ?大将は生きてるぜ」
「え?あ、そうなの?」
って、んんん?!
普通に返事したけど、今のどっから?!つーか今の声!!!
「やげんっ!!」
必死になって辺りを見渡しながら名を呼べば、そこは途端に色を変えた。
一面白だった世界は、徐々に色づいていき、とある城の縁側へと変貌する。