第1章 契り
「主、鶴丸とまぐわったんだ?」
「はいっ?!」
いや待てなんで知ってるんだ。は、なに、なんなの。え、ちょっと待って。ちょっと待ってくれ。何でばれてんだ?!?!
「は?」
ぱにくっている男に不意打ちをかけるかのように、ドスの効いた声が加州清光から聞こえた。
隣のへし切長谷部の顔を見れば、殺気と絶望で軽くホラーだ。
鯰尾藤四郎がその光景を見てケラケラ笑っているが、馬鹿野郎なんも笑えねーよ!
「なにそれ?ほんとなわけ?」
ねぇ、主。
瞳孔が開ききっている加州清光が、ヒールをコツコツと鳴らしながら近づいてくる。
男はひぃぃぃと心の内で泣きながら、三日月宗近に助けを求めた。
「主も大変だなぁ」
他人事かよ!!
相変わらずのマイペースじじいを貫き通す三日月宗近に、いつもなら主命でどんなことも聞いてくれるへし切長谷部はこちらの声など届いてやしない。
小夜左文字がこちらを心配気にしているのが視界の端で伺えるが、三日月宗近に抱きかかえられて身動きが取れないようだ。
絶体絶命の事態に、男は一番信を置いている初期刀の名を叫んだのだった。
「く、くにひろぉぉお!!」