第4章 束の間の休息
「いや、久しぶりに畑仕事でも手伝おうかなぁって思って」
「ほんと?!じゃあ主は俺と野菜の収穫ね」
蛍丸が嬉しそうにそう言って手を引く。
一方でへし切長谷部は男の言葉にぎょっとした後、顔をぶんぶんと横に振った。
「な、なりません!主にそのような手間をかけさせるなど…!」
「大丈夫だって、長谷部たちが来る前までは俺も当番に入ってたし」
「そういう問題ではなくてですね…!」
「長谷部しつこーい」
どうも納得しないへし切長谷部に蛍丸が言い放った。
その一言が意外に効いたようで、言葉に詰まるへし切長谷部を男が笑う。釣られたように蛍丸が、最後にはへし切長谷部も耐えきれずに吹き出した。
その光景を眺めながら、男は思う。
ずっと、ずっとこれから先も変わらずにこうやって笑い合えたらいい。笑いあえるような未来であってほしい、と。
そのためにも、男は絶対に帰ってこなければならないし、帰ってきたいと思う。
今はいない五虎退を連れて、みんなそろってなんでもない日常を送れるように。
祈りながら、願いながら、男は改めて覚悟を固めたのだった。