第4章 束の間の休息
暑い日のことだった。
歌仙兼定は馬当番も畑当番も好きじゃなくて、ペアの者の目を盗んではさぼることがしばしばあった。
男と当たっていたその日もそうで、男はようやく探しだした歌仙兼定と仕事に謹んでいた。
しかし五分もしないうちに、歌仙兼定はもう嫌だだのなんだの愚痴愚痴言い始めるものだから、暑さも相まってイライラしていた男と衝突。言い合いはヒートアップし、薬研藤四郎がその場に現れる頃にはお互い泥だらけに加えて引っかき傷なんかも幾つかできていた位だ。
思い出して男はたまらず噴き出す。
「なーに一人で笑ってんですか」
「いや、悪ぃ。思い出し笑い」
くふくふと笑いながら、男は次に顔を出す畑当番を思ってまた懐しい思い出に駆られるのだった。