第4章 束の間の休息
三人で黙々と馬当番をこなす事数十分。
小屋は綺麗になり、後は馬を小屋に移動させブラッシングをしてやれば終わりだ。
男は随分と久しぶりの馬当番に、流れる汗を拭いながら一息ついた。
「ふぅー、久しぶりにするとしんどいなぁ」
「主さん、もうおっさんですもんね!」
「おまっ、そんな嬉しそうに言うなよ」
にっしっし、と楽しそうに笑う鯰尾藤四郎にでこぴんを喰らわせてやれば、彼はまた楽しそうに笑う。
その光景を眺めながら井戸から汲んできた水を飲んでいた小夜左文字は、少し照れたようにつぶやいた。
「……主とこうして当番するの、昔みたい」
その言葉に、男は破顔する。
懐かしい。もう、数年前のことだ。
今より刀剣男士はずっと少なくて、内番には男も組まれているのが常だった。
馬当番も、畑当番も、どちらも男は刀剣男士とともにこなしていた。泥だらけになりながら、時になれない作業にしくはくしながら。
刀剣男士がかなり増えてきた頃から男が内番をすることはなくなったが、また復活させるのもありかもしれない。
「なつかしいなぁ。そういや俺、馬当番で歌仙と思いっきり喧嘩したことあったわ」
「主が一方的に怒られるんじゃなくて?」
「鯰尾は俺をなんだと思ってんだよ…」
「歌仙は怒りっぽいから。あと、畑当番でも喧嘩してた」
「あー、畑当番でも喧嘩してたな。小夜よく知ってんな」
「歌仙がよく僕に話してたから」