• テキストサイズ

とうらぶっ☆続

第4章 束の間の休息



膝に置いた拳を握りしめ、小さく息を吸う。
そして、口を開いた。

「三日後、俺は一人で阿津賀志山に行く」

その瞳はどこまでも真剣で、声は緊張でわずかに震えていた。
それでも、揺るぎない意志を感じる。

四口の胸にはそれぞれ複雑な気持ちが疼く。
そんな気はしていた。そういう人だと知っていたから。わかっていたから。
そんな主だから、惚れた自分たちなのだから。

それでも、やはり本人の口から聞くと鈍器で殴れたような衝撃が走る。
行くな。そんな言葉が出そうになって、それぞれが唇を噛み締めた。
胸の中で暴れる激情を何とか押さえ込んで、男に問いかける。

「……なぜ、三日後なんだ」

問うたのは大倶利伽羅だった。
分かった、の一言はまだ言えない。

「一つは準備を色々しておきたいからだな。もう一つは、自分のこころを整理しておきたい」
「…なるほどね。じゃあ、次は僕から質問いいかな」
「ああ」
「このことを他の刀に言う気は?」

にっかり青江の瞳がにぶく光る。
男は一瞬ひるみそうになって、自分を叱咤した。

/ 290ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp