第4章 束の間の休息
男は三日月宗近の言葉に強く頷く。
しかし、それを否定する意見がまた別の刀から紡がれる。
「…僕も反対です」
遠慮がちに、けれどはっきりと意見を口にしたのは堀川国広だった。
「俺もだ」
次に鶴丸国永。そして、燭台切光忠、石切丸、へし切長谷部、小夜左文字、鯰尾藤四郎、蛍丸、骨喰藤四郎、平野藤四郎が続いた。
ほとんどが、反対だと男の意見に頷こうとはしなかった。
しかし意見を示さない刀剣男士もいる。にっかり青江に大倶利伽羅、乱藤四郎に和泉守兼定、初期刀である山姥切国広だ。
彼らは賛成もしなければ、反対もしなかった。
鶴丸国永が再び口を開く。
「主、考えてもみてくれ。どう転んだって、助かる見込みがないんだ」
鶴丸国永の言葉に、男ははっとして彼を見つめた。
燭台切光忠が心配そうにふたりを見守っている。
「ちょっと鶴さん、」
「こういうのは、ちゃんと言わなきゃ駄目だろ。誤魔化したって現実は変わりはしない。それに、少しでも可能性があると思えば俺たちの主は何が何でも行くと言って聞かんしな」
「それは、そうだけど…」
その言葉に今剣が強く頷いた。