第4章 束の間の休息
「でも、そうだな…、たしかに光忠は格好いい」
鶴丸国永は今日のことを思い出しながら、そう呟いた。
その場を代表して男に謝罪を述べた彼は、確かに格好良かったのだ。罪悪感と後悔の狭間で揺れていた鶴丸国永には、できなかったことを彼はやってのけた。
自分より何百歳か年下の彼を思い浮かべて、鶴丸国永は覚悟したように、ぽつりぽつりと言葉を紡いでいく。
「………呪いをかけられていた時、意識は完全になかったわけじゃないんだ」
暫しの沈黙の末落とされた告白に、男はひゅっと息を呑んだ。
「なんていうか…、ああ、そうだ。あの感覚は、俺が墓にいた時のものに似ていたな」
はか?
男は疑問に思いつつも、彼の話に耳を傾ける。
「棺の中に入れられて、さらに土の中に埋められて、でも外のことが全く分からないわけじゃないんだ。…言葉にするのは難しくて困る」
男が理解できずにいることを悟ったのか、鶴丸国永は抱擁していた手を解くと男の髪を梳くようにして触れた。
それが気持ちよくて男は目を細める。