第4章 束の間の休息
「鶴丸は、秋田と同じくらい強く術をかけられていたから、もしかしたら後遺症がでるかもしれない。少しでも調子がおかしいなって思ったら、すぐに言ってくれ」
「分かった」
「…………それから、」
それから。
男は言葉を続けようとして、躊躇う。
ちがう。俺がここにきたのは状態確認のためでも、業務連絡のためでもない。もちろん、それも含まれてはいるけれど、いちばん大事なのはそこじゃない。
ああ、けれど、なんて言えばいいんだろう。
どう言えば、鶴丸は救われるのかな。
俺ばかりいつも助けてもらって、俺だって鶴丸を助けたいのに、どうすればいいのか全然わからない。
黙り込んでしまった男に、鶴丸国永はなにも言わない。ただ、そっと男に手を伸ばした。
触れようとして、とまどう。
ふれるのがこわい。おそろしい。この身体は、また男を傷つけるんじゃないだろうか。男はまた、傷つくんじゃないだろうか。
そう思うと、安易には触れられなかった。
触れようと伸ばした手を引っ込めようとして、それに目敏く気づいた男がその手を掴んだ。
「あるじ…?」
唇を噛み締める。
おまえはなにに怯えているの。
問いたくて、でも問うことはできなくて。本当は見当がついてるその問いの答えを、わざと彼に言わせたいと思う男は残酷でひどい人だろう。