第1章 契り
「俺なんかしたかな?」
問えば、小夜左文字はふるふると首を振り男の瞳を見据えて口を開く。
「それは多分、主のーーー」
言いかけたその時、ブゥンと音を立てて時空移転装置が起動した。
小夜左文字は口を閉じ、男は時空移転装置のゲートを開ける。
あるじさまー!とゲートの奥から今剣の声がして、思わずくすりと笑みが零れる。
約10時間ほどの遠征を終えたばかりだと言うのに、なんとも元気なことだ。
聞こえてくる声は次第に大きくなり、先頭にいた今剣がゲートから姿を現した。
「あるじさま!ただいま戻りました!」
そう言って走ってくる今剣だったが、男とあと一メートルもないであろう距離になるとピタリと足を止めてしまった。
男はおかえりと言って抱きしめる気まんまんで両手を広げていただけに、ん?!とフリーズする。
両者が両者、互いに固まっていると、第三部隊の面々がゲートから出てくる。
順番に、加州清光、蛍丸、鯰尾藤四郎、三日月宗近、へし切長谷部だ。
そして彼らは固まっているふたりを見て、首を傾げた。