第4章 束の間の休息
21
秋田藤四郎が落ち着いたところで、その場は一旦おひらきとなった。
男としても刀剣男士としてもまだ互いに話したいことはあったが、それは一対一の方がいいだろうと判断してのことだ。
男は一度自室へ戻り顔を洗った後、加州清光の部屋へと向かった。
男が姿を現してから、終始泣きっぱなしだった加州清光が男は気にかかって仕様がない。
普段は甘えたでけれど実は頼りになる加州清光は、すぐに良くないものを自分の内側に溜め込む癖がある。
手がかかるけど、目に入れても痛くないほど加州清光のことを可愛がっている男にとっては、それすらも甘受できるものだった。
「清光ー、入るぞー」
部屋の前へつくと、男はそう声をかけて部屋へと入った。
返事を聞かなかったのは、聞いても返ってこないと分かっていたからだ。
男は部屋の中央にある、こんもりと不自然に膨らんだ布団を見つけて苦笑いをこぼす。
分かりやすいやつだなぁ、と心中でごちた。
「清光」
布団のそばにより、しゃがみながら男は声をかける。
返事はない。ただ、びくりと震えたのだけが伝わった。
男はそれに何を言うでもなく、ただ寄り添って、布団の上から優しくぽんぽんと叩く。
そうすれば、少し間をおいてもぞもぞと布団の中で塊が動く気配。
手を止め待っていれば、恐る恐るといったように加州清光が布団から顔をそろりと覗かせた。