第4章 束の間の休息
「呪いのかかりやすさは、主との霊力の馴染み方による。つまり、顕現して主と霊力があまり馴染んでいなかった秋田くんには、それほど時間も要さず呪いをかけることができた。僕たちは主の霊力で繋がっていて、主に仕えているものの神気はより敏感に感じ取ることができるんだ」
それほど賢明ではない頭を回転させながら、男は燭台切光忠の言葉を何とか理解しようと必死に耳を傾ける。
「秋田くんが完全に呪いにかかったことによって、僕らもその影響を受けてかかりやすくなった。勿論、それまでの積み重ねもあったけど、恐らくそれが切欠だった」
秋田藤四郎を責めていふわけではないことは、その口調からも分かる。彼は事実を客観的に語っているにすぎない。
燭台切光忠の説明が終わると、秋田藤四郎は男のそばにより刀を男の前へ差し出した。
いつか見たことのあるその状況に、男は怖くなって睫毛を震わせた。
次に出てくる言葉を、ここにいるもの全員が見守っているのが分かる。
「ごめんなさい、僕は主さまにもらったこの身で、主さまへと刀を向けました。僕が油断していたあまりに、ここにいる皆さんにも迷惑ばかりかけました」
頭を垂れて、秋田藤四郎がそう言う。
その考えが傲慢だとはきっと誰も思わない。
自分が彼の立場ならと考えた時、同じことを言うと思うから。