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delivery start【KJ∞】

第6章 誰為、己為



あのカラオケは結局、朝の6時まで続いた。
朝早くだったので、人通りが少ないから心配だということで、すばるさんが私が使う駅まで送ってくれた。


あの日、「すばるさん」と初めて呼んだ日、少しだけ近づけた気がした。

でも、友達として。
それでもまだ、すばるさんの、心の内側には達してない気がして。

嬉しくて、寂しくなった、思い出の日。

あれから、某連絡アプリは、うるさいくらい通知が来る。

某携帯ゲーム機でのゲームのお誘いだったり、経済の話だったり、女の子のようなアクセサリーやらファッションの話だったり、すばるさんの凄さについてだったり、はたまた食べ物の話、神社など神様の話…

その中でも、埋もれてしまわないように、見失わないようにしている、すばるさんとのお喋り。

同じことが続けば、慣れてしまって「当たり前」になる日々。

なのに、わたしは毎日幸せを感じている。

この幸せが当たり前に感じることなんて、来ないと思う。

それでも、少し感じる、この寂しさは、

「…秋だなぁ…」

「待て、今この教室の中で秋を感じた奴はどこのどいつだ」

「わたしでーす」
窓も開いてないのに、秋だなぁなんて呟いたわたしに三河がツッコミを入れる。

「秋って失恋した時みたいな寂しさがあるよね!」
先生が入ってくる。

え、この、寂しさは失恋なの、

「冬が近づくからですかね?」
カットしながら考える。

「人肌恋しくなる冬の前の季節だし…冬支度?」

「そんな冬支度いらないw」
三河が笑う。

「あっ!先生、聞いてよ!」
三河が思い出したように声を上げる。

なにー?と先生が振り返る。

「浪花、好きな人いるんだよ!」


「ぶふぉぉぉおおおあああ!!!!」

「えっ、うそ!なに、だれだれ?!
恋バナしたい!!!主に聞く方!」
先生がはしゃぐ。

待て待て待て。
この教室、全生徒集まってるんだぞ?
しかもわたしの嫌いな常識はずれの自意識過剰年上ゴリラとかの一年生がいるんだぞ????

「な、なんで、今っ?!」
ハサミがぶれて仕方が無い。

「ねぇ、誰!」
先生が目をキラキラさせている。

「…多分、先生も知ってる人ですよ…」
こうなってしまっては逃げられない。

「ウチもそう言われたけど全然わかんないんですよね〜」
と三河が口を挟む。

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