第5章 友達以上は、何て言うの
「あとー…遊んでる時もテンション上がって噛んできますね…触ります?」
「そんだけ言われたら触れへんわ!」
バッと一歩下がる渋谷さん。
ぷふっ可愛い
「だぁーいじょうぶですよ」
ほら!と犬を触る。
「これくらいならまだ大丈夫」
「噛んだら霄ちゃん、チューな」
「え」
とその時にはもう犬を触っていた。
「あー、触れてもうたー」
…触れてもうた、じゃないですよ。渋谷さん。
!
「あぶないっ」
ビッとリードを引っ張る。
テンション上がり始めて噛もうとした。
「渋谷さん!大丈夫ですか?!」
固まってる渋谷さんの手を掴み怪我がないか探す。
良かった…ないみたい。
?
「大丈夫ですか?」
渋谷さんがわたしの顔を見て固まったままだ。
見つめ合う
「、び、っくりしたー…」
「ですよね、でも怪我がなくて良かった…」
散歩中に人に怪我させたとあっては大変だ。
しかも渋谷さんに。
「……あ、ちゅー…」
「…未遂だからしないですよ」
本気だったのかよ…
「未遂やなかったらしてくれたん」
先程までの空気を吹き飛ばすかのようにいきなり真面目な顔をする。
「…ずるいですよ…」
「?」
何が?と首を傾げる。
わかってないのもずるい。
「あ、服」
今持ってくるのとかって…
「あーーーーーー!!!!!」
、なにっ?!
「アイス!」
袋の中を覗いている。
「アイス、買ってたんですね」
「おん!食う?」
「いや、」
「パ○コ」
「!」
パ○コ?!
小さい頃から好き!!
わたしの表情に気づいたのか、フハハッと笑いながらパ○コの袋を開ける渋谷さん。
上手に二つに分けた。
「ん」
一つ咥えて、片方を差し出してくれる。
「…ありがとうございます」
リードを外れないように腕に引っ掛けて受け取る。
…服、取りに行けなくなっちゃった。
持っていく時に何かお礼のものつけよ。
「ほな、またあとでな~」
渋谷さんは日差しに目を細めながら帰って行った。