第4章 お友達って、
宅配に行くと
「にゃあーんって鳴いたら金払う」
やられた…先に商品渡すのが普通だからさっさと渡してしまった…
「お会計、○○円です」
「やから、にゃあーんって鳴いたら払うって」
わたしはお金の催促の意味で手を渋谷さんの目の前に差し出し、
「にゃあーん」
と図太い声で鳴いた。
「……思ってたんとちゃう…」
何やらがっかりしている渋谷さん。
「わたしは言われた通り、にゃあーんって鳴きましたよ?」
わざと首を傾げて、勝ち誇った笑みを返してみた。
渋谷さんは目をまん丸にしながら
「こずるいわ!」
と文句を言いながらお金を渡してきた。
「霄ちゃんのすぐ顔赤くなる癖、見てたら面白いんに」
なんですと。
「わたし的にはコンプレックスなんですからね、それ!」
顔赤くなるのと汗かきやすいのはわたしのコンプレックス。
暑いって思ってなくっても汗かいちゃう。
「しかもこの季節、顔赤くしてる上に汗までかいてたらエロくてええやん?」
清々しいまでの笑顔でそう返されるとわたしはもう打つ手がなく、ただ顔を赤くするだけだ。
「っほんとに!やめてください!」
「おーおー、それで怒ってるつもりかー??」
くっ…!楽しんでらっしゃる!
ここはもう華麗にキッパリスッパリ話を変えるしかない。
「そういえばわたし、今度ボーリングでオールするんですよ」
「いや、急に変えすぎやろ」
「バイトの人たちと行くんですけどね、そんな風に友達とかとどこかでオールするっていうの、初めてなんです」
「…ほぉ~ボーリングでか~…
って…バイトの人たち??」
「はい」
「誰々?」
「男の子4人と、責任者の方ですよ。あと一人、しょっちゅう他店のヘルプに行かされてる人」
「はっ??女の子、霄ちゃん以外おらへんの?!」
「そうですけど??」
何を焦ってるんですかい??
いつもバイト入ってる時も後輩の女の子、村田さんとはほとんど一緒にならないから、女の子はわたし1人っていうのはもはや日常。
「あかんやろ!男だらけの中に女の子ひとりって!」
「えええ?!何でですか!!」
「何でですか?!」
渋谷さんが珍しく声を荒らげている。