第8章 あなたと
さっき、すばるさんと会って、
それまでにすばるさんが言った言葉…
場所を伝える言葉ではないと思う…
多分、状況によって言った言葉じゃない。
そうだとしたら、
状況じゃなくて、
すばるさんの、気持ち…
…気持ちってことは、
「もしかして…
す、好きって、」
「霄ちゃんの答え、それでええん?」
にやり、とすばるさんが悪戯っ子のように笑う。
「、うっ、」
そう言われると違うような気がしてくる。
でもそれ以外に浮かばない。
というか今考えれない。
「ふ、ファイナル、アンサー、で。」
そう言うと、すばるさんが面食らったような顔をして、くしゃりと笑った。
「ファイナルも何も、答えるんは1回きりやって言うたやん。」
言葉の終に、また、すばるさんの顔が近づく。
ちゅ、と甘いリップ音が鳴る。
「正解や」
唇を離し、額と額をくっつけ、鼻先がちょん、と合わさる。
「やっと、言えた」
嬉しそうに目を閉じて、ふっ、と優しく笑うから、
もしかしたらこれは、夢なんじゃないかと思う。
でも、
「すばるさん?」
と呼びかければ、
「ん?」
とすぐ近くですばるさんが言う。
「これ、夢じゃ、ないですよね…?」
「夢…が叶った現実や」
すばるさんがそう言うから、
また口紅がついてしまった唇を指でなぞる。
なぞった指を見ると、確かに、唇の感触もあるし、色もついた。
視線を感じてすばるさんを見ると、すごい顔をしていた。
「、霄、ちゃん、あかんわ、」
「え?」
「煽りすぎやん」
「ええ??」
煽るって、何
って、あっ!
「賭け、わたしの勝ちで良いんですよね?」
「…はあ?今、全然そんな空気とちゃうかったやん!」
ほんま、と言いながら笑う。
「だ、だって…」
「勝ち、やんなあ。霄ちゃんの。」
やったあ!
「むっちゃ嬉しそうやん。そないにマフラー返して欲しかったん?」
「いや、そんなに」
自分で言っておきながら思わず、笑ってしまう。
あんなにマフラーマフラーって思い出してたのに、今全然マフラーのこと考えてなかった。
…賭け、と、言えば、
「あの日、」