第2章 濡れた肩を寄せ合う雨宿り 【山姥切国広】
「よっしゃ出来上がり!こんなもんでどうだい、主?」
「わー!主さんかわいいーっっ!!!」
今日は万屋のある城下町でお祭りがある。審神者同士の懇親会も兼ねているそれは半強制参加で余程のことがなければ欠席出来ない。もとより欠席するつもりもなかったから、次郎と乱に浴衣を着つけてもらい髪も結ってもらった。
「わ、結構凝った髪型にしてくれたんだ。ありがとう次郎すごくかわいい!」
「むぅ…ボクだって手伝ったんだよ、主さん?」
「ごめんごめん、乱もありがとう。お土産買ってくるからお留守番よろしくね」
はーい、と良いお返事が返ってくるのと前後して、障子の向こうから声をかけられた。
「主、支度は出来たのか?そろそろ出かけるぞ」
「あ、まんば。お待たせ、準備出来たよ」
乱が障子を開けてくれたので、ちょっとポーズを取ってみる。
「どう、かな?」
「………」
リアクションが無い。それどころかまんばはいつも被っている布を更に深く被りなおした。やっぱり大人っぽすぎたかなぁ、黒地に赤い蝶のモダン柄の浴衣なんて。着られてる感ハンパ無いよね……。
「ちょっと山姥切さんてば、こーゆー時は『かわいいよ』とか『良く似合ってる』とか言うもんでしょ?」
見かねた乱がフォローしようとしてくれたけど、まんばはクルリと後ろを向いてしまった。
「支度が出来たなら行くぞ」
「あ!ちょっと待ってよまんば!!次郎、乱、行ってきます」
見送ってくれる次郎と乱を背にまんばを追いかけた。