第7章 鶴丸夢01
……そう、あの時からもうすぐ1年経つんだ。
目が覚めて、懐かしさに小さく笑う。
あれから色んなことがあったっけ。
落ちても痛くないくらいの深さだったけど落とし穴に落とされたり、廊下を歩いてたら屋根から彼が逆さまに降りてきたり……あぁ、部屋中に山のように沢山花を撒かれたこともあった。
流石に襖を開けたら花まみれになっていた部屋にはかなり驚いた…片付けた後もしばらくは色んなとこから花びらが見つかってたな。
「柚希、起きてるか?」
そろそろ朝飯の準備が出来るみたいだぜ、襖の向こうからそう言ったのは今まで考えていた私のとても大切で、大好きな人。
「おはよう、国永。今支度するから少し待ってて。」
「あぁ。………どうした?随分と機嫌が良さそうな声じゃないか。」
「そうかな?……懐かしい夢を見たからかな、国永の。」
「俺の?へぇ、そりゃどんな?」
「国永が私に色んな表情させてみせるから覚悟しとけよって言った時。」
……宣言通り、私は沢山の表情を彼にさせられた。
怒ったり、困ったり、苦笑したり、笑ったり、喜んだり、泣いたり、照れたり…………今まで感情に乏しかったのが嘘みたいに。
私はこんなに色んな感情表現が出来たんだと、凄く驚いた。
「…私、国永に凄く、感謝してるんだよ。………私の人生に驚きをくれてありがとう。国永に会えて良かった。」
「っ!!…どうしてきみはそう………あぁ、俺も柚希に会えて良かったと思ってる。」
「ふふ、嬉しいな。…あ、お待たせ、準備が出来たよ。」
準備が出来たから襖を開けようと手をかける前に向こう側から開いて、国永に抱き締められた。
「わっ、く、国永?」
「…少し、このままでいてくれ。………見せられるような顔をしてないんでな。」
きみのせいで顔が熱い、と言われて小さく笑う。
「……ふふ、驚いたか。」
「…そりゃもう、かなり驚いた。」
「…………国永、この1年本当にありがとう。これからもずっと…よろしくね。」
「…あぁ、勿論だ。」