第1章 光忠夢01
さて、今日の晩ご飯はどうしようか。
目の前に並ぶ野菜を見ながら献立を考える。
茄子にトマト、きゅうりに南瓜、とうもろこしにいんげん。
今日の本丸の畑は夏野菜が豊作だったらしい。
本丸は四季が混ざり合っているから冬でも夏の物が取れたりして、何度見ても面白いなぁと思いながら冷蔵庫の中身を思い出す。
確かお肉が色々とあったはずだから…
「……夏野菜カレーかな。」
トマトときゅうりでサラダも作れるし。
じゃがいものストックもまだあったはずだからポタージュも作ろうかな。
うん、そうしようと思ったところでパタパタという足音が聞こえた。
「ごめん、光忠さん!遅くなっちゃった!」
「ううん、遅くないよ。まだ何を作ろうかなって考えてたところだったから。夏野菜カレーにしようと思うんだけどどうかな?」
走ってきたみたいで息を整えている柚希ちゃんにそう声をかける。
「カレー良いね!お肉ってまだあったっけ?」
「うん、豚肉も牛肉も鶏肉もあったよ。柚希ちゃんはどれが好き?」
「んー…豚肉かなぁ。それにこの間は牛すじカレーだったし。」
「じゃあ今日は豚肉にしようか。」
「よし!じゃあ作ろう!」
僕がこの彼女……柚希ちゃんが主である本丸に顕現したのは数ヶ月前。
彼女の元には既に沢山の刀剣男士達がいた。
ちょっと出遅れちゃったのかななんて思ったけど、柚希ちゃんは僕の顕現を心から喜んでくれた。
『私、ずっと光忠さんに来て欲しかったんです!』
そう最高の笑顔で言って。
その時から僕は柚希ちゃんが好きだ。
柚希ちゃんに喜んで欲しい、笑顔でいて欲しい、その為には何だってしたいと思っていたところで僕が見つけた出来ることが料理だった。
僕が来る前からいた歌仙くんや堀川くんが今までやっていたらしいんだけど、その2人が遠征に行ってしまっていた時に柚希ちゃんを手伝ったのがきっかけ。
元の主の影響か、料理をするのが楽しかった僕は遠征などでいない時以外作らせて欲しいと柚希ちゃんに頼んで今に至っている。