第4章 明石夢01
「柚希はん、畑仕事終わりましたでー…っておーおー、また随分と呑気な顔して………。」
自分の視線の先には机でうたた寝をしている柚希はん。
仕事を片付けてる途中で寝てもうたんやろう、手元にはタブレットとかいう平たい機械があった。
そっと近付いて、すぐ側で顔を見る。
「………こんだけ近付いても起きんて…えぇんですかー、そんな油断してて。」
この人は自分らに気を許し過ぎやと思う。
まぁ、確かに危害を加えるつもりのあるようなのはおらんから、警戒もせんでこないに寝てられるんやろう。
「……でも知ってます?自分らは刀の付喪神と言えど今は人の体を持ってるんやで?…………柚希はんに惚れてもうた奴が、何かするかもとか思わへんの?」
例えば自分とか、なんて問いに返ってくるのは穏やかな寝息だけで。
ふぅ、と小さく溜息をつく。
「自分…やる気ないのが売りでなーんもせずにおるのが理想やったんやけどなぁ。」
なのに、いつしかこの人が欲しくて欲しくてたまらん様になってもうてて。
まさか自分がこの人の笑顔が見たくて真面目に内番こなしたり、戦闘で誉を取れるよう気張ってみたりするなんて思ってもみぃひんかった。
「………本気出すんで覚悟しといてや、柚希はん。」
きっと振り向かせたるから。