第1章 出会い。
「俺は男だ!女じゃない!」
そうだ男だ。
女な訳ない。
「喰種の嗅覚の凄さを君は知っていないのかい?」
やはりこいつら喰種か。
確かに喰種の嗅覚は舐めたもんじゃない。
だが俺は男だ・・・
何かを思い出せそうで思い出せない。
くっそ・・・。
「たっだいまぁ。
ひなみんったらどんどん先に進んじゃうんだから」
「ごめんねリコお姉ちゃん。
欲しいのが一杯あって」
今度は2体。
どちらも女か。
これなら喰えるかもな。
「お客さん?」
「おかえりヒナミちゃん、リコさん。
この子はナギサくん。」
敵が多すぎるが生きるには喰うしか。
「初めまして!ヒナミだよ。
お兄ちゃんはここの新人さん?」
新人?
なにを言っているんだ。
俺はもっぱらここに入る訳ないだろう。
「へ~え、ちょっと気になるな。
金木君、ちょっとこの子借りるね。」
「お、おい!引っ張るな!」
なんなんだこの女!
いきなり俺を・・・!
「これで大丈夫かな」
女は俺を見知らぬ部屋に連れ込むなり鍵を閉めた。
「何をする気だ」
逃げ場がない。
この女が読めない。
「あたしね、人の過去が見えちゃうんだよね。
勿論君のも見えちゃった」
人の過去が見えるだと?
そんな馬鹿げた話あるものか。
「俺をそんな馬鹿げた話で釣ろうとでも?」
何が目的か知らないが油断は出来ない。
いつ襲われるかもわからない状況だ。
気を引き締めなければ。
「君、親の言い聞かせで男のフリしてるでしょ?」
「何を言っている。
俺は男だ。」
また疑っているのか。
ここの奴はどいつもこいつも・・・。
「お母さんの仇をうつために、ね」
「・・・!」
母さんの仇・・・。
「うっ!」
いきなり酷い頭痛が襲ってきた。
尋常じゃない。
今まで忘れていた事が全て思い出したよう。
俺が産まれてから現在にいたるまでの思い出が俺の頭を巡る。
「思い出した?ナギサちゃんっ」
そうだ、俺はあの時から・・・