第1章 出会い。
ん・・・。
ここはどこだろう。
見たことのない部屋。
嗅いだ事のない匂い。
私はなんでここに。
「おはよう、良く眠れたかな。」
近くから声が聞こえた。
「誰だ!」
くっ。
頭が痛む。
まともに立てない。
「怖がらないで。
僕は金木研っていうんだ。」
カネキケン?
知らない奴だ。
そんな事どうでもいい。
何故私はここにいる。
「君、雑居ビルの中で倒れていたんだ。
僕が行った時には君しかいなかったけど戦った形跡があった」
倒れていた?
戦った形跡?
わからない。
この男が言っている事がなんなのか。
頭を使う気力もない。
「君の名前は?」
名前・・・。
思い出せない。
私は一体誰なんだ。
わからない。わからない。わからない。
「やぁ金木君。
今日は新しい花を調達したから届けに・・・
先客かな?」
いきなり青い髪で背が高い男が来た。
私は喰われるのか?
「この子倒れていたんだ。
怖がっちゃってるみたいで口を聞いてくれなくて。」
「どうやらお困りのようだね。
そういう事ならお任せを」
そう言うと長身の男が近付いて来た。
「来るな!」
赫子は・・・よし、出せる。
室内だから少し操るのは難しいだろうけどやるしかない。
「隻眼か。
どうやら金木君が拾って来た子は只者じゃなさそうだね」
隻眼とわかるのか。
ならばこいつらは喰種かハト。
どっちにしろ喰われるか殺されるだろう。
ならば先に殺してやる。
「殺意が伝わってくるね。
Be cool...少々手荒になっちゃうけど耐えてね」
凄いスピードで背後に回られ押さえつけられた。
目で追える速さじゃない。
ポケットに手を入れてきた。
「やめろ!離せ!喰うぞ!」
「元気が良いね。
っと、あった。金木君、身分証明書あったよ」
なんなんだこの本のようなものは。
見覚えのないものだ。
「名前は先崎渚(せんざき なぎさ)。
高校2年生で”Boy”のようだね」
カネキケンが私をじっと見ている。
なんなんだ?
「女性の匂いがしますが、本当に男性なんですか」
「この生徒手帳にはBoyになっているよ」
男・・・おとこ・・・おトコ・・・
「僕もRedyのような気がするんだ。
何故Boyのフリをしているんだい?」
何を言っているんだこいつらは。
私は女・・・
違う、”俺”は”男”だ。