第1章 {1}鬼のはじまり。
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その手をとって私が一応上司の彼に。
『よろしくお願いします。』
というと。
彼はまた悪人のように笑い。
「ようこそ。我が部所へ。」
と、見るからにスペースの無駄だろと思うほどの
広い場所に招き入れた。
そこには彼の他に四人。
はたからみればイケメンなんだろう男の人が。
仕事とはどー考えても思えない個人の趣味の世界を
繰り広げていた。
『えーと、はじめまして!わたし東川と…』
「あー、知ってる知ってる。」
一人の彼は読んでいた新聞から顔をあげ、
だるそうにわたしの方を見た。
「ほら智くん。新しい女の子だよー」
棒読みで呼び掛ける先には
ルアーをキラキラと輝いた目で見つめる男がいた。
いかん。
もうやっていけない気がする。
*