第5章 予選*(本気宮)
【舞台裏】
『ねぇ、これ変じゃない?』
私は和也の前でくるっと一回転する。
「だーかーら、大丈夫だって。何回言わせんのさ。」
貴方はピシッと決めた白のスーツに水色の鮮やかなネクタイをして。
いつもは猫背な背をただしている。
予選の種目は。
新郎新婦でランウェイを歩くことだった。
『だって、不安じゃん!これから人前を歩くんだよ??』
私は背中があきすぎじゃないかとか。
胸元が私に足りないんじゃないかとか。
このヒールは転んじゃうんじゃないかとか。
不安が不安を誘うってこう言うことだなと思った。
『千春は何を着ても似合うよ。』
めんどくさそうにいう彼は。ムカつくほど絵になっていた。
「ありがとうございますー」
もう、私は開き直って。自分達の番号が
呼ばれるのを待っていた。
私たちの番号は55番。
なんと最後だ。
*