第3章 テニス部
昼休みになった。
やはり外国からの転入生。
よほど気になったに違いないが、休みごとにいろんな子から質問を受けた。
その子たちがあまりにも可愛い子ばかりだったから私はちょっと自信を無くしかけたが・・・
男子からは特に話しかけてくる人を見ない。
日本の男子はピュアなのかな?(笑)
とにかく、私の周りには今、可愛い女子ばかりがいる。
可愛い女子をお目にかかれるのは嬉しいのだが、当初の目的を忘れてもいけないので、私は少し探りを入れてみた。
「あなた達には気になる男子はいるの?」
「そりゃーもちろん♪ ここのクラスじゃないんだけれど、テニス部の手塚君とか大人っぽくてかっこいいよね~」
テニス部・・・
「手塚君ってどんな人?」
「えっとね・・・メガネをかけてて、テニス部の部長なんだよ。で、部員をまとめるためなのか威厳があって、テニスも強いの!」
テニス部の部長。
ならば、部員全員の事を把握しているかもしれない。
テニス部に近づくなら彼が一番いいかもしれない。
私は頭のメモ帳に手塚という名前を刻んだ。
「でもさ、ルネちゃんが本気で落としにかかったら、私たち勝ち目無くない?」
「スタイルでも顔でも勝つとこないわ~」
彼女たちは口々に言うけれど、私はとんでもないと反論した。
「日本人には日本人の好みがあるでしょ? 日本の男子にとって、可愛い子たちの方が嬉しいものだと思うけれど! あなた達は可愛いから。それに比べて私は・・・」
何の取柄もない、と言いかけて彼女たちの視線に言葉が消えた。
彼女たちはポカーンとして私の事を見つめていた。
「え・・・なに?」
「ねえ、ルネちゃんって自覚ないタイプなんじゃない?」
「だよね! これじゃ男子が群がっても気づかないかも(笑)」
彼女たちの囁き声が所々に聞こえて私は思わず首をかしげる。
わけがわからなくて思わず口に出そうとした時だった。
「あ、手塚君だ!!」
「え、ホント?」
一人の女子の発言から、廊下にぞろぞろと出て行く人たちを見て、私も思わず後ろをついていく。
廊下にいたのは彼女たちの言った通り、中学生らしくない空気をまとうメガネ男子の姿だった。