第2章 学校
「あ、お父さん? 私です。ルネです☆」
私は、お父さんに電話をかけることにした。
『ルネ、またお前は・・・今はどこに出かけているんだ?』
なんとなく遅く聞こえる。
やはり場所が離れているせいか。
「日本」
『ブッ・・・お前はまた・・・とんでもなく遠くに出かけてくれたものだな!』
父さんはコーヒーが好きだ。結構飲んでいる。
今のは多分、コーヒーを吹いた音だ。
汚い父だなぁと思いつつも、私は会話を続ける。
「財布、もらったからね」
『・・・だろうとは思ったよ。何故か隠していたはずのお前のパスポートも消えていた』
「そういうの本棚に隠す癖、直ってないよね(笑)机の引き出しの鍵も盗まなかったことには感謝してほしいな」
『お前という奴は・・・ッ』
「でね、こっちの学校に通いたくなったから、学校に申請しといてよ」
『流石に私でも、そこまでの無茶は許せない――』
「だったらいいよ? ここにいる日本人と結婚しちゃうから」
『お前は今ホテルにいるんじゃないのか!?』
父さんの喋り方が焦ってきた。
父さんは兄さんだけでなく私にも均等に気を使ってくれている。
だから、生涯の相手を選ぶのも大切にしてくれているらしい。
・・・ちなみに、婚約者の事も考えているとか(笑)
「友達の家。母一人、姉一人、弟二人(一人は全寮制)のところ」
『男がいるのか!』
「うん。しかも今いるのは私と同い年」
『だめだ! 私の通帳からいくら使ってもいいからその家を出ろ!』
おお~必死(笑)
「だったら、こっちの学校への入学手続きをよろしくお願いします☆」
『分かった。通いたいのはどの学校なんだ?』
「あ・・・ちょっとまた後で電話するね」
『え・・・あ、いや、ちょ――』
『ブツッ』
私は一度父さんとの会話を中断した。
転校するならば、その学校の場所とかも知らなくちゃだよね・・・
姉さんに聞こうかな・・・
いや、どうせ周助君の事を知るためのことなんだから、周助君と話そう。
私はそっと部屋を出た。
なんだか、とても緊張してきた。