第1章 〜人形のような少女〜
翌日。
寮の部屋で目を覚ました私は、制服に着替えて身支度を済ませ、食堂に降りる。
入学から一ヶ月経っても、友達なんてものが出来ないのは、多分この冷めた性分のせいなんだろう。
いつもの様に一人で食事を取って、紅茶を飲んで、高校へ向かっていると。
「おはよ」
普通に声を掛けられたことに驚きつつ、振り返ると藍黒髪に亜麻色の瞳の越前リョーマ。
「うん、おはよ。そういえば、同じクラスだっけ」
「そう。昨日まで気にしてなかったけど」
「越前君らしいね」
くすと笑うと、彼の目が見開かれた。
「…?どうかした?」
「ふぅん、そういう顔も出来るんじゃん」
「一応人間だからね」
「人間でしょ?」
「さぁ。なんてね」
ウインクしてみせると、越前は停止する。
「…どうしたの?」
「…何でもない」
賦活したかと思うと、すいっと目を逸らす越前に、首を傾げる。
「授業、始まるよ」
「そうだった…」
普段遅れがちの彼に注意されるのは不本意だけれど。
事実なのだから仕方ない。
私達は教室へ急いだ。