第2章 〜Rute 越前リョーマ〜
「何、笑ってんの」
「ん?リョーマの上達スピードが比較にならないなと思って」
「誰と?」
「私とだよ。実は卓球、一番苦手だったの」
「へぇ。にも苦手なものあったんだ。ちょっと安心するよ」
「私は環境が整ってただけだからね。リョーマもやろうと思えば何でも出来る素質があるよ」
「そう。でも俺はテニスで頂点取るから。他のスポーツはやらない」
「言うと思った」
呟いて私は、自分より高い位置にあるリョーマの頭を撫でた。
「私ももう一度、真面目にやってみようかな」
「真面目に、ね。良いんじゃ無い?」
ふっと笑みを浮かべるリョーマに笑い返して。
心に留める。
今感じた想いを。
「今日はご馳走様」
「送るけど」
「遠回りになるでしょ?」
「別に良い」
結局寮の前まで送ってくれたリョーマにお礼を言って、私は部屋へ戻った。
その数日後、リョーマがアルバイトを始めて。
少し罪悪感を感じてしまった私だった。