第2章 〜Rute 越前リョーマ〜
その後、卓球は勿論、ボーリング、ダーツ、ビリヤード、カラオケ。
室内競技と言われるスポーツで悉く私が勝ってしまい。
彼は軽く拗ね気味。
でも、何でも吸収するスピードが半端じゃ無くて。
どれも数ヶ月やればトップレベルまでいけるだけの素質がある。
多分天才。
私と同じタイプの人。
「越前君、その才能が有れば、その気になりさえすれば私なんて簡単に抜けるでしょ」
「スポーツはね、まだ何とかなりそう。歌は完敗」
「まぁ…一応一時期プロだったし。顔は映して無いけど」
「へぇ、芸名は?」
「silver moon」
「そう言えば確かに居たね。結構有名じゃん。今度買っとく」
「もう良いよ、やってないんだし」
遅めの昼食を取って、気ままに歩き出す彼の後を追う。
「何処行くの?越前君」
「その呼び方、やめてくんない?」
「何て呼べば良い?」
「リョーマ。俺の名前」
「…リョーマ?」
「よく出来ました」
ぽんぽんと私の頭を撫でる彼は何だか嬉しそうで。
自然に笑顔になる。
こんな風に、誰かと散々遊んで、横を歩いたりなんてした事なかった。
こんな風に触れられた事なんて、今までなかったから。