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〜浮雲〜《テニスの王子様》

第1章 〜人形のような少女〜



それにしても。

何のスポーツもしなくなって約半年。

此処まで体力が落ちてるなんて思わなかった。

ワンゲームマッチがタイブレークになったぐらいで、此処まで体力持って行かれるなんて。


勿論、不二先輩の技に翻弄されたっていうのもあるけれど。

技なら、私だって殆ど真似できるのに。

上手く出す体力と、技術、柔軟性が足りない。


「竜崎先生、明日からトレーニング参加しても良いですか?」


「ははっ!構わないよ。好きにおし」


「有り難うございます」


ぺこりと頭をさげると、現部長の手塚先輩と副部長の幸村先輩が竜崎先生に駆け寄る。


「先生!今の練習メニューは…」


「女の子には少し厳しすぎるんじゃ無いかな…」


「何言ってるんだい?あの子はテニス以外のスポーツも殆どを頂点を極めてる。空手、剣道、柔道、合気道…」


「竜崎先生!内緒って言ったじゃ無いですか!」


慌てて口を挟むも、手塚部長と幸村副部長はきょとんと目を瞬かせていて。

私は大きくため息を吐く。


「…何のために、一つ制覇するたびに転校してたと思ってるんですか…」


気味が悪いと思われるからだ。

元々友達が出来る性格ではないけれど、白い目で見られるのは結構堪えたから。

だから、竜崎先生にしか話してなかったのに…。


「心配するな。こいつらがその程度で気味悪がるようなタマかい」


「凄いな」


素直に褒めてくれる手塚部長。


「そうだね、僕達、テニスを取ったら何も残らないのに」


柔らかく笑う幸村副部長。


「へぇ、じゃあ体術じゃ最強?」


ちらりとこちらを見遣る越前君。


「さぁ…どうだろ」


首を傾げていると、越前君の腕を幸村副部長が取った。


「ねぇ、越前君。今から僕と試合しよっか」


「は?何でっすか?」


「ちょっと…ね」


感情の見えない笑みを見せる神の子幸村副部長に、越前君が何故か試合で一方的にやられていた。
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