第2章 【黄瀬】「今年こそは」なんて聞き飽きた
でも、願掛けかあ。結構いいかもしれないな。
私もやってみようかな…?
よし、決めた。
大吉が出たら、来年からも毎年ずっと、涼太と初詣に来れる!
これくらいしても、バチは当たらないはず……
…神様、浮かれた願掛けしてごめんなさい!!
「じゃ、『せーの』で見よう!」
『うん!』
「『せーの!』」
恐る恐る目を開くと…私のおみくじの文字はなんと!
『やった!大吉だぁ!』
まさか1発で出るなんて、嬉しい!
あ、そうだ、涼太はどうだったんだろう…。
『ね、涼太…』
「嘘だ…」
声をかけようとすると、涼太は愕然としていた。
それを見て、察する。
…ダメだったんだ。
私は思わず目を伏せた。
…次の瞬間、
「うおおおぉぉよっしゃあああああぁぁぁ!!」
『うわ!!』
涼太が、ガッツポーズで雄叫びをあげた。
…と、いうことは!!
「大吉っス!!!!」
『やったね、涼太!!』
「うん、めっちゃ嬉しい!!」
全力で喜びを表現する涼太。
その行動が小さい頃と変わんなくて、私は少し笑ってしまった。
「これで、やっと言える…」
『ん?涼太どうしたの?』
小声で何か呟いた涼太をのぞき込むと、涼太は「なんでもないっス!」と首を振った。
私と涼太の関係が『幼なじみ』から『恋人』にレベルアップするのは、この1時間ほど後のこと。
END